東京地方裁判所 平成4年(特わ)1201号 判決 1992年11月17日
本店所在地
東京都北区中十条三丁目三番八号
株式会社
タツタ
右代表者の住居
千葉県市原市五井六三四二番地
(右代表者代表取締役 竜田辰夫)
本籍
兵庫県加西市朝妻町一四〇番地
住居
千葉県市原市五井六三四二番地
会社役員
竜田昌代
昭和二〇年八月二五日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤俊治、弁護人藤森洋各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社タツタを罰金二〇〇〇万円に、被告人竜田昌代を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人竜田昌代に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社タツタ(以下、被告会社という)は、東京都北区中十条三丁目三番八号に本店を置き、土木工事・建築工事の請負等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成三年四月二四日以前は資本金三〇〇万円)の株式会社であり、被告人竜田昌代は、被告会社の取締役(平成元年五月二四日以前は監査役)として、被告会社の経理業務全般を統括しているものであるが、被告人竜田昌代は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、人件費を過大計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六八五七万二九五六円(別紙一の1修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成元年五月三一日、東京都北区王子三丁目二二番一五号所轄王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二六〇万六六七一円で、これに対する法人税額が四三三万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二七八三万七〇〇〇円と右申告税額との差額二三五〇万五八〇〇円(別紙二の1脱税額計算書のとおり)を免れ
第二 平成元年四月一日から同二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一二九一万二四〇〇円(別紙一の2修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成二年五月三〇日、前記王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四四三二万八一八五円で、これに対する法人税額が一六八四万〇八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四四二七万四四〇〇円と右申告税額との差額二七四三万三六〇〇円(別紙二の2脱税額計算書のとおり)を免れ
第三 平成二年四月一日から同三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九四七九万五三二一円(別紙一の3修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成三年五月三〇日、前記王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六〇七万一七二五円で、これに対する法人税額が五一九万六八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三四七一万八三〇〇円と右申告税額との差額二九五二万一五〇〇円(別神二の3脱税額計算書のとおり)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人竜田昌代、被告会社代表者竜田辰夫の当公判廷における各供述
一 被告人竜田昌代の検察官に対する各供述調書
一 被告会社代表者竜田辰夫の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の賃金調査書(検甲一)
一 大蔵事務官作成の工員賞与調査書(検甲二)
一 大蔵事務官作成の役員報酬調査書(検甲三)
一 大蔵事務官作成の謝礼金調査書(検甲五)
一 大蔵事務官作成の交際接待費調査書(検甲七)
一 大蔵事務官作成の受取利息調査書(検甲八)
一 大蔵事務官作成の損金の額に算入した道府県民税利子割調査書(検甲一二)
一 大蔵事務官作成の交際費損金不算入額調査書(検甲一三)
一 大蔵事務官作成の事業税認定損調査書(検甲一五)
一 大蔵事務官作成の領置てん末書(検甲一八)
一 登記官作成の登記簿謄本(検乙八)
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の賞与調査書(検甲四)
一 大蔵事務官作成の旅費交通費調査書(検甲六)
一 大蔵事務官作成の役員賞与損金不算入調査書(検甲一四)
一 押収してある法人税確定申告書(元/三期)一袋(平成四年押第一一〇一号の1)
判示第二、第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の減価償却超過額調査書(検甲九)
一 大蔵事務官作成の賞与引当金繰入超過額調査書(検甲一〇)
一 大蔵事務官作成の雑損失調査書(検甲一一)
判示第二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書(二/三期)一袋(全同押号の2)
判示第三の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書(三/三期)一袋(全同押号の3)
(法令の適用)
被告人竜田昌代の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に、被告人竜田昌代の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社につきいずれも同法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、被告人竜田昌代につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社につきいずれも情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人竜田昌代につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法廷の加重をし、被告会社につき同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人竜田昌代につき加重した刑期の、被告会社につき合算した金額の各範囲内で被告人竜田昌代を懲役一〇月に、被告会社を罰金二〇〇〇万円にそれぞれ処し、被告人竜田昌代に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑・被告会社に対し罰金二五〇〇万円、被告人竜田昌代に対し懲役一〇月)
(裁判官 伊藤正髙)
別紙一の1
修正損益計算書
<省略>
別紙一の2
修正損益計算書
<省略>
別紙一の3
修正損益計算書
<省略>
別紙二の1
脱税額計算書
<省略>
別紙二の2
脱税額計算書
<省略>
別紙二の3
脱税額計算書
<省略>